中国政府のVR産業支援策により軍民両方での応用が進展中

　中国は、世界において最も重要なAR/VR市場の一つに成長すると予測されている。データ分析会社IDCの予測によると、2021年から2026年までの間、中国のAR/VR市場は年平均成長率（CAGR）42.2%で急速に成長し、米国や西ヨーロッパなどの他の8つの地域を上回り、世界でトップに立つでしょう。2026年には中国のAR/VRへの総投資額が120億ドルを超え、全体の24.4%を占め、アメリカに次いで市場規模が2番目に大きくなると予測されている。
　メタバースやWeb3などの技術の発展と、中国の工業情報化部や教育部など5つの省庁が共同で発表した「仮想現実と産業応用の融合発展行動計画（2022年〜2026年）」による公式な方針設定に伴い、中国の拡張現実・仮想現実産業の巨大な可能性が解き放たれ続けることになる。（IDC. 2022）

IDC中国<https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prCHC49956922＞

　中国政府は、VRゲーム分野において「VR+」の発展を指導・支援し、VRの応用領域を拡大することを目指している。例えば、文化部の「文化娯楽産業の変革・高度化の推進に関する意見」では、2022―2026年に、ゲームでVR、ARなどの先端技術を積極的に導入することに賛成することは明らかになった。ポストコロナ時代の到来や政府の強力な政策支援などを背景に、中国のVRゲーム業界の将来は有望である。一時的な停滞期を経験したものの、コロナ後経済の再開や2022年4月にゲーム発行に必要なバージョン番号の発行が再開されるなど、業界は復活の兆しを見せている。

　近年、中国のVR産業はゲーム業界に限らず、軍事と民生の両分野で革新的な成果を生み出していることが注目されている。図では、軍事訓練においてVRデバイスの導入が活発化し、軍人たちがその効果を実感している様子が伝えられている。さらに、2023年4月のあるニュースで、VR防空シミュレーション訓練システムを使用し、戦闘能力の向上に成功したと報じられた。これにより、VRの活用が中国軍人の訓練方法に革命をもたらしたと言われるまでになった。特に、VR導入による訓練サイクルの短縮効果が注目されている。

央視軍事<https://military.cctv.com/>

　一方、民生の領域でも、VRは人々の生活に具体的な答えを提供している。最近では、上海のパシフィックプレイスで開催された没入型仮想現実展「the Horizon of Khufu」がアジア初上陸した。この展示では、エジプトのクフ王のピラミッドを内部と周辺をスキャンし、モデル化した世界初の文化・観光体験が提供された。フランスのVR/ARブランドであるExcurioが、ハーバード大学のギザプロジェクトチームとの共同開発で3年を費やした。このプロジェクトでは、バーチャルリアリティのデジタル技術ツールを使用し、ピラミッドの文化と融合させることで、来場者に没入型の探検体験を提供している。また、観光業界においても、最近発表された「観光発展第14次5カ年計画」、「巴蜀文化旅游回廊建設計画」、「黒龍江省観光発展促進条例」などの政策のように、ポストコロナの時代には旅行業で新しいテクノロジーと深く融合する重要性が示されている。

広播テレビ総局上海<https://sh.cctv.com/2023/05/17/ARTI0C5a4BRogMpJ8xDdadMC230517.shtml＞

　結論として、中国のVR産業は政策支持のことで、満々開花の状況になり、軍用と民生の両大分野において、ゲーム、娯楽、旅行などさまざまの領域で応用していく動きは見える。中国VR産業は幅広く価値を創出し、中国他産業をリードしていくことは期待する。

---