韓国では最近「生産型AIを使って製作されたウェブトゥーン」(以下「AIウェブトゥーン」という)が大きな問題になっている。

韓国で最も大きなウェブトゥーンプラットフォームである「NAVERウェブトゥーン」で2023年5月22日に公開された新作ウェブトゥーン「神と共に帰ってきた騎士王様」は公開された直後、生成型AI使用に関して論難に包まれた。この論難では背景に入った事物がカットごとに変わったこと、ぎこちない村の背景、合わない身体比率などが指摘された。それだけでなく、一部のカットは日本の人気アニメである「無職転生~異世界行ったら本気だす~」の場面をキャプチャー、トレーシング、盗作したという疑惑と一部エキストラが映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の登場人物と似ているという疑惑も共に提起された。このような議論が激しくなると、ウェブトゥーンを製作した「ブルーライン・スタジオ」は漫画1話の最下段に謝罪や釈明文を掲載した。 このような議論が激しくなると、ウェブトゥーンを製作した「ブルーライン・スタジオ」は漫画1話の最下段に次のような文を掲載した。

謝罪文のために再び補正したのだ」「完成された生成型AIの絵をトレーシングしてコンテを作ったのだ」という反応を示した。現在は公開されたイメージの中でキャラクターの後補正イメージ、AIを利用した補正の原本と補正本、そして論難になったシャンデリアの背景作業イメージは削除された状態だ。ウェブトゥーン「神と共に帰ってきた騎士王様」はこのような論難を後にして継続連載中であり、10点中1話2.32点、2話3.31点、3話4.25点という評点を受け、現在NAVERで連載されている曜日ウェブトゥーン592個中最低評点を記録した。該当ウェブトゥーンを除いて最も評点が低いウェブトゥーンの評点が7.62点であることを考慮すれば、AI使用論難があるウェブトゥーンに向けた冷笑的な読者の反応を数値で確認できる。

今回の論難以後、韓国ウェブトゥーン業界には変化があった。まず、該当ウェブトゥーンが連載されているプラットフォーム「NAVER」は現在開催されているウェブトゥーン公募展である「2023NAVERウェブトゥーン地上最大公募展」でAI活用を禁止すると明らかにした。5月23日から25日まで行われた「地上最大公募展」1次受付の規定ではAI使用を禁止するという項目は存在しなかった。しかし、今回の論難以後、関係者は「『地上最大公募展』2次受付段階から『生成型AI技術を活用した作品創作を制限する』というEメールを1次合格者に発送した」と明らかにした。5月10日から行われた「2023ムーンピア X NAVERーウェブトゥーン地上最大ウェブ小説公募展」では、「生成型AI結果物の著作権に対する社会的合意がなされていない状況であるため、政策的に今回の公募展出品作においてはウェブ小説、イラストを含め生成型AIの活用を許可していません。」という告知があったことから、同様の理由でAI活用を禁止したものと推測される。
読者と作家もAIウェブトゥーンに反対するボイコット運動を展開した。最近、「挑戦漫画」に「AIウェブトゥーンボイコット」というタイトルのウェブトゥーンが60編以上掲示されたのだ。「挑戦漫画」は誰もがウェブトゥーンをアップロードできるNAVERウェブトゥーンのアマチュア・クリエイター・プラットフォームである。ウェブトゥーンイメージの製作者は確認されてないが、それぞれ異なるIDで掲載されたこのウェブトゥーンは「AIウェブトゥーンボイコットします。NAVER挑戦漫画の絵の無断AI収集に反対します。著作権で安全な絵AIはありません」という説明文と「#AIウェブトゥーンボイコット、#AIウェブトゥーン、#ボイコット、#無断収集反対、#NOAI」というハッシュタグを付けてアップロードされた。NAVERウェブトゥーン作家になるための利用約款には「皆さんが提供した大切なコンテンツはNAVERサービスを改善し、新しいNAVERサービスを提供するために人工知能分野技術などの研究開発目的でNAVERおよびNAVER系列会社で使用できます」「会員がNAVERウェブトゥーンサービス内に掲示する掲示物は…(中略)NAVERウェブトゥーンおよびNAVERサービスのための研究目的で活用できます」という条項が存在する。言い換え、利用約款を通じてすでに同意を得ているため、NAVERウェブトゥーンのイメージを自由にAI学習に使用できるようになっている。アップロードされた数十編の「AIウェブトゥーンボイコット」は該当内容と共にAIの著作権侵害、不法アップロード、肖像権侵害と性搾取物など生成型AIに対する危険性を指摘している。このウェブトゥーンは6月7日視点でも基準で人気挑戦漫画2位、6位、9位を記録し、読者の関心を集めている。
一方、他の有名ウェブトゥーンプラットフォームである「カカオウェブトゥーン」では「人間がウェブトゥーンを支配する」というゲリラ公募展を開催した。6月1日から始まるこのゲリラ公募展は、「인손인그(インソンイング、人手人描―人間の手で描いた人間が描いた)」作品のみ許容し、それでない場合は選抜から除外すると明示されている。「インソンイング(人手人描)」であるその作品の認証資料を追加で提出することができ、読者は該当ゲリラ公募展を見ながら、5月末のAIウェブトゥーン論難を見て素早く準備したと話している。
絵に関するAI技術は他のAI技術と共に時間が経つほど発展し、彩色や盗作検索などウェブトゥーン産業に役立つAI技術も存在する。しかし、生成型AIは必ず他人の創作物を学習して結果物を作るものであり、著作権侵害や盗作に関するイシューから自由ではない。生成型AIで作られるのが「創作物」である限り、生成型AIの論難と規制は今後も続くものと予測され、世論がこれを受け入れられるかは依然として不透明だ。
参考資料
「神と共に帰ってきた騎士王様」連載ページ(最終閲覧日 2023.06.23)https://comic.naver.com/webtoon/list?titleId=809618
「神と共に帰ってきた騎士王様」第1話 (最終閲覧日 2023.06.23)https://comic.naver.com/webtoon/detail?titleId=809618&no=1
「AIウェブトゥーンボイコット」連載ページ (最終閲覧日 2023.06.23)https://comic.naver.com/challenge/list?titleId=811940
「人間がウェブトゥーンを支配する」募集要項 (最終閲覧日 2023.06.23)https://webtoon.kakao.com/more/notice?focus_id=121